ジョージフロイドの事件が起きた直後、日本でもBLMデモが催され、複数のBLM団体が立ち上がり声を上げた。日本が変わるかもしれない、と淡い期待を持ったことを昨日のことのように思い出せる。
だが、あの事件から2年経った今日現在日本において、状況が好転したように感じられない。あらためて、なぜ日本でもBLMが必要なのかを考えていきます。
1つ目はヘイトスピーチと具体的罰則不足の観点です。
一般の方でもアンケートやインタビュー記事でもヘイトスピーチの被害経験を語られている方は少なくないです。また著名人でもオコエ桃仁花、大阪なおみ、八村塁、阿蓮両などの方々がヘイトスピーチ被害を訴えています。
TOKYO人権 第89号(令和3年3月31日発行)特集「ブラック・ライブズ・マターと日本 すべての人にとっての人種問題とは」では、京都大学人文科学研究所教授の竹沢泰子さんがBLMとヘイトスピーチ、日本国内の差別意識の問題を語っています。
「人種とは、差別を正当化するために探し見出された『差異の印』であり、日本も例外ではありません。日本で『人種』という言葉は、明治初期に教科書に記載され始めましたが、いまだに教科書や百科事典には、『皮膚の色や頭髪など身体的特徴によって区別される』といった古い定義が見られ、一般的に用いられている概念が時代遅れ」
「日本においても、女性であるとか障害があるとか、社会的属性による差別を無意識に行なっていることがあり、内面ではなく外見やその人の持っている属性で判断しがちなところは、人種主義と通じる見解なのです」
日本に存在する人種差別の特徴として、一つは、ヘイトスピーチのような、自分と異なる集団を排除する価値観があることが挙げられます。「人種差別は人差別や外国人差別だけを指すのではありません。在日コリアンや同和問題、アイヌ民族に関連する問題など日本固有の古くからある問題にも人種意識が関係しています」
なぜヘイトスピーチを是正しなければならないのか?
筆者が考える大きな問題点は2点です。
東洋経済オンライン「肌の色でいじめられた娘のために父親が書いた本」に、痛ましいいじめの統計について記載がある。